住まいの熱中症対策
熱中症で救急搬送された人の発生場所を見ると、およそ40%が「住居(敷地内)」となっています。熱中症は予防が可能なものです。住宅でできる熱中症対策を考え健康被害を防ぎましょう。
1.日差しを室内に入れない。西日の強さは1000W電気ストーブ2台分
夏に室内に入り込む熱は開口部からが71%。東側や西側の窓からの日差しを遮る工夫をしましょう。夏は太陽高度が高いので、南側の窓より東側や西側の窓から日差しが入ってきます。縦横2m程度の窓に差す西日の強さは100Wの電気ストーブ2台分もあります。カーテンやブラインドで遮るのが一般的ですが、これではガラスを透過して室内に熱が入り室温上昇につながります。室内に設置したブラインドでは51%の熱が室内に侵入。これに対し外部にブラインドを付けた場合は18%に抑えることができます。その他シェードやよしず、すだれ、緑のカーテンなども有効ですが、風に飛ばされないよう固定方法には注意が必要です。ガラスを遮熱タイプのLow-E複層ガラスにしたり、遮熱フィルムを張るのも有効です。寝室の枕元の窓に対策が必要な時には、室内側に断熱材を充填したパネル戸を設置すると、冬の寒さ対策にもなります。日射の状態はシミュレーションすることができるので、事前に効果を確認し、設置が容易かつ安全・効率的な方法で夏の日射を遮蔽し、室温上昇を抑えましょう。
2.室内に入り込んだ熱を排出。室内に籠らせない
天井近くの高い位置に排気用の窓や換気扇を設置しましょう。室温上昇をそのままにしておくと、室内のあらゆるものが熱を吸収し温まり、室温が下がりにくくなります。室温の上昇を抑えるよう室内に侵入した熱は排出できるような仕組みが必要です。
1階よりも2階、床面よりも天井近くに熱が集まります。この熱を外へ逃がす風の流れ(風の入口・出口)を意識した窓の配置を考えましょう。気流に触れることで体感温度が下がる効果もあります。
天井裏の熱気のこもりが天井の火照りになります。この熱気を外へ逃がすための換気扇も効果を発揮します。
高齢になると部屋の暑さを感じにくくなるとも言われます。体感だけに頼らず、大きく見やすい温度計を設置して、エアコンで室温管理する習慣を身に着けておきましょう。断熱性の向上した最近の家はエアコンをつけたままで室温を一定に保つ方がエネルギー消費は小さくなります。エアコンを上手に使って健康を維持しましょう。
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